タレーランブログ

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『社会をつくる「物語」の力』

 

社会をつくる「物語」の力 学者と作家の創造的対話 (光文社新書)

社会をつくる「物語」の力 学者と作家の創造的対話 (光文社新書)

 

 


中頃で木村草太さんが面白いことを言っている。

木村  読めば「おもしろい」って思ってもらえる自信があるんですけれども。このテーマで、これだけのボリュームを読みこなそうという人が、いまの日本にどのくらいいるのか。出版社がこれでOKを出してくれるのか。社会調査として、ちょっと楽しみです。(168ページ)

いますよー。とまずは応答したい。新書としては分厚い(370ページ)けれど、全編これ膝を打つ意見の連続で、大変面白く読んだ。面白かったところを引用してみる。(iPhoneでポチポチ手打ちしているから、面白いところはたくさんあるけど、あまり長くは書けない)

木村  実は「法学部は法学SFをやる場所」と言っていいと思います。「架空の法があったら人間がどう動くか」を考えるのは、法学者として普通にやっていることですから。(27ページ)

新城  そもそもフィクションとフェイクニュースは本当に区別できるのかっていう問題もあります。つまり、近代小説の起源は、おおよそ18世紀く17世紀後半ぐらいのヨーロッパになるんですけども、最初のころは、新聞記事と短編小説って、実はほとんど区別がなかったんですよ。(82ページ)

木村  ものすごく単純な例で言えば、道路交通法で「赤が止まれ、青は進め」と決めてある。でも赤と青という色を理解する人がいなくなったら、信号は機能しなくなってしまう。それと同じで、民主主義や人権が機能するには、いろいろな前提が必要なはずなんです。(172ページ)

その前提が壊れているのが問題だということですが、すごくわかる。

本書の第3部では他にも、木村さんが現状を憂いているところがあって、ふーむと唸ってしまうのだが、その話はまた次回。

取り急ぎ、読んでよかったという報告まで。